農林水産省生物多様性戦略(平成19年)を足がかりにして今後、農業における生物多様性をターゲットとした試験研究なり推進施策なりが展開されていくと考えられます。今のところ、生産局→有機栽培、振興局→圃場整備という枠内から抜けきれてなかったり、環境省に気を使ったり(逆?)しているような気もするのですが、従来議論されていなかった分野だと思うので大きな進歩だと考えています。
生物多様性って言葉を農業で適用するのは、日本だとやっぱり稲かなと思います。蔬菜類でこの考え方を適用しようとすると、どうしても虫媒介性のウイルス病がネックになったりして、生物多様性に対して寛容になれないような気がしています。日本では農作物の中で稲の存在だけが、歴史が極端に長く、他の動植物との共存に寛容だったりするのは間違いないと思います(クリというのも長い歴史がありますがこれはどちらかというと狩猟に近いような気がしています)。
さて、生きもの認証制度。農村環境に依存した生きものを積極的にその価値を高めようする制度だと思います。この認証には大きく2つのパターンがあると思います。それは象徴種を掲げて認証→ブランド化を目指すパターン、もう一つは生物多様性を掲げて認証→ブランド化を目指すパターン。本来は、この生物多様性の価値観が将来的に普遍化することを視野に入れていかなければならないので、ブランド化(差別化)はその過程になると思います。ここで問題なのが、象徴種がいない地域。この場合、差別化が図れない危険性があります。また、地域によっては希少性の高い種であっても他の地域では普通種になってしまう危険性もあります。そういった地域では徹底的に収量を上げていくのも手段としてありますが、そういった技術はすでに限界にきているような気がしています。
考え方の提案としては、従来からの環境保全型農業の評価基準や試験設計の段階で生物多様性をキーワードに入れていくことが挙げられます。どうしても害虫-天敵の思考から脱却できていないのは重々承知していますが、実は無農薬や有機栽培よりも省力的に生物多様性を保全する技術ってのは身近に転がっているかもしれません。
環境保全型農業の定義:「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和等に留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」・・・つまりこの環境保全型農業の定義では生産に関係ない生きものへの配慮は無い。
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